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犬の歯周病の原因・症状・治療費を獣医師監修で徹底解説|予防のためのデンタルケア完全ガイド
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犬の歯周病の原因・症状・治療費を獣医師監修で徹底解説|予防のためのデンタルケア完全ガイド

16分で読める

監修: 監修獣医師(後日記入)

3歳以上の犬の約80%が何らかの歯周病にかかっているといわれています。歯周病は口の中だけの問題にとどまらず、放置すると心臓や腎臓などの全身疾患につながるリスクがある深刻な病気です。

しかし、歯周病は適切な予防と早期発見で大きく進行を遅らせることが可能です。この記事では、犬の歯周病の原因・症状・治療法・費用相場を解説するとともに、自宅でできるデンタルケアの実践方法を獣医師監修のもとで詳しく紹介します。


犬の歯周病とは

歯周病は、歯垢(プラーク)の中の細菌が原因で歯肉や歯を支える組織(歯周組織)に炎症が起きる疾患の総称です。大きく2つの段階に分けられます。

段階 名称 状態 可逆性
初期 歯肉炎 歯肉(歯ぐき)のみに炎症。歯を支える骨は正常 治療で改善可能
進行期 歯周炎 歯肉だけでなく歯を支える骨(歯槽骨)まで破壊が進行 失われた骨は元に戻らない

重要: 歯肉炎の段階であれば適切な治療で元に戻せますが、歯周炎まで進行すると破壊された歯槽骨は再生しません。つまり、早期発見・早期治療が決定的に重要です。


犬の歯周病の原因

直接的な原因:歯垢(プラーク)と歯石

歯周病の原因は、歯の表面に付着する歯垢(プラーク)の中に含まれる歯周病原細菌です。

犬の歯周病が進行しやすい理由:

  1. 歯石化が速い: 犬の口腔内はアルカリ性(pH8~9)のため、歯垢が歯石に変わるスピードが人間より格段に速く、わずか3~5日で歯石が形成されます(人間は約2週間)
  2. 歯磨き習慣の不足: 多くの飼い主が日常的な歯磨きを行えていない
  3. 痛みを隠す習性: 犬は痛みを表に出しにくいため、症状に気づいたときには進行していることが多い

歯周病になりやすい犬の特徴

リスク因子 詳細
小型犬 顎が小さく歯が密集しているため、歯垢がたまりやすい。トイプードル、チワワ、ダックスフンド、ヨークシャーテリアは特に注意
短頭種 パグ、フレンチブルドッグなど。歯並びが不規則で磨き残しが出やすい
高齢犬 加齢に伴い免疫力が低下し、歯周病が進行しやすい
乳歯遺残 乳歯が抜けずに残っていると、永久歯との間に歯垢がたまりやすい
柔らかいフードのみ ドライフードに比べ、歯の表面に食べカスが残りやすい

犬の歯周病の症状|進行度別チェックリスト

【独自】自宅でできる歯周病セルフチェック

以下の項目を月に1回チェックすることで、歯周病の早期発見につながります。

ステージ1: 軽度の歯肉炎(歯周ポケット 1~3mm)

  • 口臭がやや気になるようになった
  • 歯肉(歯ぐき)が赤くなっている
  • 歯の根元に薄い黄色~茶色の歯石が見える
  • 歯磨き時に歯肉から軽い出血がある

この段階なら: 歯石除去と適切な歯磨きで改善が期待できます。

ステージ2: 中等度の歯肉炎軽度の歯周炎(歯周ポケット 45mm)

  • 口臭がはっきりと不快なレベルになった
  • 歯肉が腫れている
  • 歯石が明確に蓄積している(茶色~灰色の塊)
  • 食事のとき、口を気にする仕草がある
  • よだれの量が増えた

この段階なら: 全身麻酔下での歯石除去(スケーリング)が必要です。

ステージ3: 中等度~重度の歯周炎(歯周ポケット 5mm以上)

  • 強い口臭がある(腐敗臭)
  • 歯がグラグラしている
  • 歯肉から膿が出ている
  • 硬いものを食べなくなった
  • 片側だけで食べる、食べこぼしが増えた
  • くしゃみや鼻水が出る(口鼻瘻管の可能性)
  • 顔が腫れている(根尖膿瘍の可能性)
  • 食欲が低下している

この段階では: 抜歯を含む口腔外科処置が必要になることが多いです。


犬の歯周病を放置すると何が起こるか

歯周病は口の中だけの問題ではありません。放置すると以下のような重大な合併症を引き起こす可能性があります。

口腔内の合併症

合併症 説明
歯の脱落 歯を支える骨が破壊され、歯がポロっと抜け落ちる
口鼻瘻管(こうびろうかん) 歯周病が進行して上顎の歯の根元の骨が溶け、口と鼻がつながる穴ができる。くしゃみ・鼻水・鼻血の原因に
下顎骨骨折 小型犬で特に注意。歯周病で下顎の骨が薄くなり、硬いものを噛んだ衝撃や、歯石除去時に骨折する
根尖膿瘍(こんせんのうよう) 歯の根元に膿がたまり、目の下や顎が腫れる。破裂して皮膚に穴が開くこともある

全身への影響

近年の研究で、歯周病菌が血流に乗って全身に広がり、以下の臓器に悪影響を与える可能性が指摘されています。

  • 心臓: 心内膜炎、僧帽弁閉鎖不全症の悪化
  • 腎臓: 腎炎、慢性腎臓病の進行リスク
  • 肝臓: 肝機能への影響
  • 糖尿病: 血糖コントロールの悪化

犬の歯周病の治療法

軽度(歯肉炎)の場合

治療内容:

  • 全身麻酔下でのスケーリング(超音波スケーラーによる歯石除去)
  • ポリッシング(歯の表面を研磨して歯垢が付きにくくする)
  • 歯周ポケット内の洗浄

治療後のケア:

  • 抗生物質の投与(数日間)
  • 自宅での歯磨き再開(術後数日~1週間後から)

中等度~重度(歯周炎)の場合

治療内容:

  • 全身麻酔下でのスケーリング + ルートプレーニング(歯根面の滑沢化)
  • 歯周ポケット内への薬剤注入
  • 必要に応じた抜歯(温存不可能な歯の判断)
  • 口鼻瘻管がある場合は粘膜フラップによる閉鎖手術
  • 縫合処置

治療後のケア:

  • 抗生物質・鎮痛剤の投与
  • 柔らかいフードへの一時的な切り替え
  • 2週間後の再診でのチェック

無麻酔歯石除去について

近年、「無麻酔歯石除去」を謳うサービスが増えていますが、獣医師の間では以下の理由から推奨されていません。

  • 歯周ポケット内の処置ができない: 見える歯石を取るだけで、歯周病の治療にはならない
  • 歯の裏側が処置できない: 犬が動くため、歯の舌側(裏側)の歯石除去は困難
  • 歯の表面を傷つけるリスク: かえって歯垢が付きやすくなる可能性がある
  • 痛みを与えるリスク: 歯周病が進行している歯への処置は痛みを伴う

適切な歯科処置には全身麻酔が必要です。 麻酔のリスクについてはかかりつけ医と相談し、術前の血液検査で安全性を確認した上で実施しましょう。


犬の歯周病の治療費

治療費の目安

治療内容 費用相場 備考
術前検査(血液検査等) 5,000~15,000円 麻酔前に必須
全身麻酔 10,000~30,000円 体重により変動
スケーリング(歯石除去)のみ 20,000~40,000円 麻酔代込みの場合もあり
スケーリング + 抜歯あり 30,000~80,000円 抜歯本数により変動
重度(多数の抜歯 + 口腔外科) 100,000~250,000円 下顎骨折リスクのある症例等
術後の薬 3,000~5,000円 抗生物質・鎮痛剤

平均的な費用: 歯石除去のみで約30,00040,000円、抜歯を含む場合は50,000100,000円程度が多いです。

ペット保険の適用

  • 歯周病の治療: 多くのペット保険で補償対象(ただし、待機期間や免責金額に注意)
  • 予防目的の歯石除去: 多くの保険で補償対象外
  • 事前に保険会社に確認: 歯科治療の補償条件は保険会社によって大きく異なる

【独自】犬種別の歯周病リスクと推奨デンタルケア頻度

pet-dock編集部が獣医歯科関連の文献をもとに、犬種別のリスクレベルと推奨デンタルケア頻度をまとめました。

リスクレベル 犬種の例 推奨歯磨き頻度 歯科検診頻度
高リスク トイプードル、ヨークシャーテリア、チワワ、パピヨン、マルチーズ 毎日 半年に1回
中~高リスク ダックスフンド、パグ、フレンチブルドッグ、シーズー 毎日~2日に1回 半年~1年に1回
中リスク 柴犬、コーギー、ビーグル、キャバリア 2~3日に1回 年1回
低~中リスク ラブラドール、ゴールデンレトリーバー、ジャーマンシェパード 2~3日に1回 年1回

注意: あくまで一般的な傾向です。個体差があるため、かかりつけ医の指導に従ってください。


犬の歯周病予防:自宅でできるデンタルケアの方法

最も効果的な予防法:歯磨き

歯ブラシによる歯磨きは、犬の歯周病予防において最も効果的な方法です。

歯磨きに必要なもの

  • 犬用歯ブラシ: 人間用は毛が硬すぎるため必ず犬用を使用。指サック型は初心者向け
  • 犬用歯磨きペースト: チキン味やバニラ味など犬が好むフレーバーのもの。人間用の歯磨き粉は絶対に使わないでください(キシリトールが含まれている場合、犬には有毒です)

歯磨きが初めての犬への段階的トレーニング(4週間プログラム)

いきなり歯ブラシを口に入れると犬が嫌がり、以後の歯磨きが困難になります。以下のステップで徐々に慣らしていきましょう。

Week 1: 口周りに触れることに慣らす

  • 口の周りを優しく触る → おやつ(ごほうび)
  • 唇をめくって歯を見る → おやつ
  • 1回5秒程度、1日2~3回

Week 2: 指で歯に触れる

  • 歯磨きペーストを指に少量つけ、前歯に触れる → おやつ
  • 徐々に奥歯にも指を入れる
  • 1回10~15秒程度

Week 3: 指サック型歯ブラシを導入

  • 指サック型にペーストをつけ、前歯を磨く → おやつ
  • 犬歯(キバ)、奥の臼歯まで広げる
  • 1回30秒~1分程度

Week 4: 歯ブラシに移行

  • 通常の犬用歯ブラシにペーストをつけて磨く
  • 歯と歯肉の境目を45度の角度で、小さく円を描くように
  • 最終的には全ての歯で2~3分が目標

ポイント: 毎回、歯磨き後にごほうびを与えて「歯磨き = 良いこと」と学習させます。嫌がったら無理をせず、できたところまでで終了して褒めてください。

歯磨き以外の補助的デンタルケア

歯磨きがどうしても難しい場合や、歯磨きと併用することで効果が高まるケア方法です。ただし、歯ブラシによる歯磨きの代わりにはなりません。

ケア方法 効果 注意点
デンタルガム 噛むことで歯の表面の歯垢を物理的に除去 VOHC(米国獣医口腔衛生委員会)認定製品を選ぶ。丸飲みによる誤飲に注意
デンタルリンス・ジェル 口腔内の細菌を抑制 歯ブラシ不要タイプもあるが、効果は歯磨きより限定的
デンタルスプレー 口臭軽減、細菌の抑制 根本的な歯垢除去にはならない
デンタルトイ 噛むことによる物理的な清掃 硬すぎるおもちゃは歯の破折リスクがあるため注意
デンタルフード 粒が大きく繊維構造で歯垢を除去 補助的な効果。主食としての栄養バランスも確認

動物病院での定期検診

自宅でのケアに加えて、動物病院での定期的な口腔チェックが重要です。

  • 推奨頻度: 年1回以上(高リスク犬種は半年に1回)
  • 健康診断時に口腔チェックを追加: 多くの動物病院で、健康診断のオプションとして口腔チェックを受けられます
  • 早期の歯石除去: 軽度の段階でスケーリングを行えば、費用も処置時間も短く済みます

よくある質問(FAQ)

Q1: 犬の歯周病は人間にうつりますか?

A1: 犬と人間の歯周病菌の種類は異なりますが、口腔内の細菌の中には種をまたいで感染する可能性がある細菌も存在します。犬との「口移し」や、犬が舐めた食器を洗わず使うなどの行為は衛生面から避けることが推奨されます。

Q2: 老犬でも全身麻酔をかけて歯科処置ができますか?

A2: 年齢だけで麻酔の可否は判断できません。術前の血液検査・心電図・レントゲンなどで全身状態を評価し、麻酔リスクを総合的に判断します。高齢であっても健康状態が良好であれば歯科処置は可能ですし、逆に若くても基礎疾患がある場合は慎重な判断が必要です。かかりつけ医と十分に相談してください。

Q3: 犬用の歯磨きガムだけでは歯周病予防になりませんか?

A3: デンタルガムは歯の表面の歯垢除去に一定の効果がありますが、歯と歯肉の境目(歯周ポケット内)の歯垢は除去できません。歯周病は歯周ポケット内の細菌が原因であるため、ガムだけでは十分な予防にはなりません。歯ブラシによる歯磨きと併用することを推奨します。

Q4: 歯石を自分で取っても大丈夫ですか?

A4: ペット用のスケーラーが市販されていますが、自宅での歯石除去は推奨しません。歯の表面を傷つけてかえって歯垢が付きやすくなる、歯周ポケット内の処置ができない、犬が動いて口腔内を傷つけるリスクがあるためです。歯石除去は全身麻酔下で獣医師が行うべき処置です。

Q5: 犬の歯石除去の費用はいくらですか?

A5: 全身麻酔下でのスケーリング(歯石除去)のみで約20,000〜40,000円、抜歯を含む場合は30,000〜80,000円が相場です。術前の血液検査(5,000〜15,000円)も別途必要です。費用は病院や犬の体重、歯周病の進行度によって大きく異なります。詳しくは「動物病院の費用ガイド」をご覧ください。


まとめ

犬の歯周病は非常に有病率が高い疾患ですが、適切な予防と早期治療で重症化を防ぐことができます。

今日からできる3つのアクション:

  1. 愛犬の口の中をチェックする: この記事のセルフチェックリストで現在の状態を確認
  2. 歯磨きを始める: 4週間プログラムで段階的にスタート
  3. 次の健康診断で口腔チェックを追加する: かかりつけ医に「歯のチェックもお願いします」と伝える

歯周病の治療費は進行度が上がるほど高額になります。軽度のスケーリングは約3~4万円で済みますが、重度の口腔外科まで必要になると20万円を超えることもあります。日々のデンタルケアは、愛犬の健康と飼い主さんの家計を守る最善の投資です。


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この記事は獣医師の監修のもと作成されています。ただし、個別の診断や治療を代替するものではありません。愛犬の口腔内に気になる症状がある場合は、かかりつけの獣医師にご相談ください。治療費は病院や地域、症例によって異なります。

最終更新: 2026年4月1日

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