猫の外耳炎|症状・原因・治療費・自宅ケアを獣医師監修で解説【2026年版】
この記事のポイント
- 猫の外耳炎は耳ダニ・細菌・真菌(マラセチア)の3大原因で発症し、放置すると中耳炎・内耳炎へ進行するリスクがある。
- 「耳をかく」「首を振る」「黒〜茶色の耳垢が増える」「耳から悪臭」は受診サイン。24時間以上続けば即受診。
- 治療費の目安は 初診3,000〜5,000円、点耳薬1,500〜3,500円、検査込で総額7,000〜15,000円。慢性化すると年間3〜5万円。
- 自宅での綿棒掃除は外耳道を傷つけて悪化させる原因。獣医師指示なしの耳掃除は禁忌。
- 多頭飼いで耳ダニが見つかったら全頭同時治療が必須。1匹だけ治療しても再感染ループに入る。
猫の外耳炎とは|症状の見分け方
外耳炎は 耳介から鼓膜までの「外耳道」に炎症が起きる疾患 です。猫の耳は犬と比べて構造が浅くL字も急ですが、それでも以下のような特徴的サインが現れます。
典型的な5つのサイン
| サイン | 詳細 | 緊急度 |
|---|---|---|
| 耳をしきりにかく | 後ろ足で耳の付け根をかく頻度が増える | 中 |
| 頭を振る | 1日に何度も「ブルブル」と首を振る | 中 |
| 耳垢の色・量の変化 | 黒・茶・黄・赤褐色の耳垢が増える | 高 |
| 耳から悪臭 | 甘酸っぱい/腐敗臭のような匂い | 高 |
| 耳介の赤み・腫れ | 耳の内側がピンク〜赤に腫れる | 高 |
進行すると現れる重症サイン
- 頭を傾けたまま戻らない(斜頸) → 中耳炎・内耳炎の疑い
- 平衡感覚を失ってよろける → 内耳炎(前庭症状)
- 食欲低下・元気消失 → 全身への波及
- 耳血腫(耳介がパンパンに膨らむ) → 強いかゆみで自傷
危険サイン → 斜頸・ふらつきが出たら 24時間以内に夜間救急対応の動物病院 を探してください。
猫の外耳炎の3大原因
原因1:耳ダニ(ミミヒゼンダニ)
子猫・保護猫・多頭飼いで圧倒的に多い原因です。強烈なかゆみと黒〜コーヒーかす状の耳垢が特徴。
- 感染力が極めて強く、同居猫に1〜2週間で広がる
- 顕微鏡で活動するダニが目視確認できる
- 治療:駆虫薬(レボリューション®等のスポット薬)+点耳薬で2〜4週間
- 多頭飼いは全頭同時治療が必須
原因2:細菌感染(ブドウ球菌・連鎖球菌等)
自分でかきむしって外耳道に傷ができ、そこから細菌が入る二次感染パターンが多いです。
- 黄〜白色の膿性耳垢、強い悪臭が特徴
- 鼓膜が破れている可能性があるため自己判断の点耳薬は禁忌
- 治療:細菌培養→抗生剤入り点耳薬2〜3週間
原因3:真菌感染(マラセチア・カンジダ等)
高湿度の環境やアレルギー体質の猫で発症しやすい原因です。
- 茶〜赤褐色のベタつく耳垢、独特の発酵臭が特徴
- 梅雨〜夏に増加(湿度70%以上で繁殖加速)
- 治療:抗真菌点耳薬+耳洗浄、3〜4週間
その他のリスク要因
| 要因 | 発症率への影響 |
|---|---|
| アレルギー体質(食物・環境) | 慢性化・両耳発症のリスク3倍 |
| 高齢(10歳以上) | 免疫低下で再発リスク2倍 |
| 多頭飼い | 耳ダニ感染リスク5倍 |
| 外出可能な猫 | 寄生虫・細菌曝露リスク高 |
| 異物・腫瘍 | 一側性の難治性外耳炎の原因 |
自宅ケアと受診の境界線
自宅で観察してOKな範囲
- 耳垢が普段より少し多いが、色・匂い・かゆみ症状なし
- 1〜2日のかきむしり程度で24時間以内に治まった
- 耳介の赤みなし・触っても嫌がらない
即受診すべき7つのサイン
- 24時間以上継続するかきむしり・首振り
- 黒・茶・黄・赤い耳垢が大量に出る
- 耳から悪臭がする
- 耳介が赤く腫れている
- 耳を触ると痛がる・鳴く
- 頭を傾ける・ふらつく
- 耳血腫(耳介の腫れ)が出現
やってはいけない自宅ケアNG3つ
| NG行為 | 理由 |
|---|---|
| 綿棒で奥まで掃除 | 耳垢を奥に押し込み、外耳道を傷つける |
| 市販の耳洗浄液を勝手に使う | 鼓膜が破れていると内耳に薬剤が侵入し前庭症状を起こす |
| 人間用の点耳薬を使う | 用量・成分が猫に有害な場合あり(ステロイド等) |
獣医師の指導なしの耳ケアは症状を悪化させる最大要因です。心配な耳垢があれば触らずに病院へ持参(動画撮影でもOK) が正解。
治療費の相場|初診から再発予防まで
初診時の費用内訳
| 項目 | 費用目安 |
|---|---|
| 診察料 | 1,500〜3,000円 |
| 耳鏡検査 | 500〜1,500円 |
| 耳垢検査(顕微鏡) | 1,000〜2,500円 |
| 細菌培養(必要時) | 3,500〜6,000円 |
| 点耳薬(2週間分) | 1,500〜3,500円 |
| 内服薬(必要時) | 1,500〜3,000円 |
| 合計(標準ケース) | 7,000〜15,000円 |
重症化・慢性化した場合
- 耳血腫の手術:3万〜8万円
- 中耳炎・内耳炎の精査(CT/MRI):6万〜15万円
- 慢性外耳炎の年間治療費:3万〜5万円
- アレルギー検査:1万5千〜3万円
治療期間の目安
| 重症度 | 治療期間 |
|---|---|
| 軽症(耳ダニ単独) | 2〜4週間 |
| 中等症(細菌・真菌感染) | 3〜6週間 |
| 重症(中耳炎合併) | 2〜3ヶ月 |
| 慢性・再発性 | 半年〜終生管理 |
費用詳細 → 動物病院の初診費用ガイド で内訳を確認
再発を防ぐ|正しい耳掃除の頻度・方法
健康な猫の耳掃除頻度
- 基本不要。猫の耳は自浄作用で保たれる
- 折れ耳種(スコティッシュフォールド等)は月1回チェック
- 耳垢が見えたら獣医師指示の洗浄液を綿に含ませて耳介の溝のみ拭き取る
- 奥には絶対綿棒を入れない
環境要因のコントロール
| 環境要因 | 推奨対策 |
|---|---|
| 湿度 | 50〜60%を維持(除湿機・エアコン) |
| 多頭飼いの新入り | 隔離期間2週間+耳鏡チェック |
| アレルギー体質 | 獣医師と療法食の検討 |
| 高齢猫 | 月1回の耳介チェック習慣化 |
再発リスクが高い猫種
- スコティッシュフォールド(折れ耳)
- ペルシャ・ヒマラヤン(長毛種)
- アメリカンカール(耳の構造)
- アレルギー体質と診断された個体
FAQ|飼い主からよくある質問
Q1:猫の耳ダニは人間にうつりますか?
A:まれにうつります。ミミヒゼンダニは基本的に猫に寄生する種ですが、飼い主の腕などに一時的に移動してかゆみ・小さな赤い発疹を起こすケースが報告されています。猫の治療と並行して飼い主側も皮膚科受診を検討してください。
Q2:片耳だけ症状がある場合も両耳治療すべきですか?
A:両耳同時治療が原則です。耳ダニは片側症状でも反対側に必ず潜んでおり、片耳のみ治療すると再発します。細菌・真菌でも同様で、対側耳に予防的点耳を行うのが標準治療です。
Q3:市販の猫用イヤークリーナーで自己治療できますか?
A:不可です。市販品は健康な耳の維持用で、外耳炎の治療効果はありません。むしろ刺激で悪化させる事例が多く、鼓膜穿孔がある場合は内耳に侵入して前庭障害(ふらつき・斜頸) を起こす危険があります。必ず受診してください。
Q4:治療中にお風呂・耳掃除はしていいですか?
A:治療期間中の入浴は中止してください。点耳薬の効果が薄まり、外耳道が再び湿潤環境になります。耳掃除も獣医師の指示通りの頻度・方法のみで、自己流は禁止です。
Q5:再発を繰り返す場合は何科を受診すべきですか?
A:皮膚科専門医のいる動物病院 または 二次診療施設の耳鼻科 をお勧めします。慢性・難治性外耳炎の背景には食物アレルギー・アトピー・ポリープ・腫瘍が隠れていることが多く、専門的な精査(CT・耳鏡下処置・アレルギー検査)が必要です。
まとめ|早期受診と全頭治療がカギ
- 猫の外耳炎は耳ダニ・細菌・真菌の3大原因。多頭飼いの新入りや高湿度環境で発症リスク上昇。
- 「耳をかく」「首を振る」「悪臭」「黒〜茶の耳垢」が24時間以上続けば受診。
- 治療費は7,000〜15,000円が標準。慢性化させると年間3〜5万円・専門医療費も発生。
- 自宅での綿棒掃除・市販点耳薬の使用は禁忌。鼓膜穿孔があれば前庭症状の危険。
- 多頭飼いは全頭同時治療で再感染ループを断ち切る。
愛猫の耳サインに気づいたら、迷わずかかりつけ医に相談してください。早期治療なら2〜4週間で完治し、再発予防まで含めて年間1万円以下に抑えられます。
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監修:pet-dock獣医師監修チーム(臨床経験10年以上の獣医師が内容を監修しています) 最終更新:2026年4月27日