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猫が血を吐いた 原因と受診の目安【獣医師監修】
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猫が血を吐いた 原因と受診の目安【獣医師監修】

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猫が血を吐いた 原因と受診の目安【獣医師監修】

【結論】 猫の吐血は、鮮血が複数回/コーヒー残渣様(黒褐色)/元気がない・食欲不振を伴う場合は即時受診を推奨します。ピンク色の筋がごく少量で1回のみ・元気と食欲が保たれている場合は半日〜24時間以内の受診が目安です。ユリ・観葉植物・人間の薬の摂取が疑われる場合は症状の軽重に関わらず即時受診(特にユリは摂取後6時間以内の治療が腎機能温存の鍵)が必要です。変動要因は年齢/嘔吐物の色・量・頻度/随伴症状(黒色便・元気消失)/中毒物質への接触可能性の4つです。最終判断は獣医師の診察によります。

愛猫が血の混じったものを吐いた場面に遭遇すると、飼い主としてパニックになるのは当然のことです。猫の吐血は、口の中の小さな傷による軽度なものから、胃潰瘍や腫瘍、中毒など命に関わる重篤な原因まで様々な可能性があります。

「赤い血が混じっている」のか「茶褐色のコーヒーかすのようなものが混じっている」のかによって疑われる疾患が異なり、緊急度も変わります。この記事では、猫が血を吐く原因を疾患別に解説し、すぐに受診すべきケースの判断基準と、動物病院を受診するまでに飼い主ができることについて獣医師監修のもとでお伝えします。

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この記事のポイント

  • 血を吐いた場合は基本的にできるだけ早く動物病院を受診する
  • 鮮血は口腔・食道からの出血、暗赤色~茶色は胃からの出血の可能性が高い
  • 吐血と喀血(肺からの出血による咳き込み)を区別する
  • 中毒物質(ユリ、殺鼠剤など)の誤食は特に緊急性が高い
  • 吐いたものをスマホで撮影して動物病院に持参する
  • 繰り返す吐血は消化管腫瘍の可能性がある

まず確認すること:吐血の種類を見分ける

猫が血を吐いた場合、まず血液の色と性状を観察してください。これにより出血の部位を推定できます。

特徴 鮮紅色の血液 暗赤色~茶色(コーヒー残渣様)
血液の色 明るい赤 暗い赤、茶褐色、黒っぽい
出血部位 口腔、咽頭、食道 胃、十二指腸
意味 出血が新しい(胃酸に触れていない) 胃酸で変性した血液
主な原因 口内炎、歯周病、食道損傷 胃潰瘍、胃腫瘍、異物
緊急度 中~高 高い

吐血と喀血の違い

「血を吐いた」と表現される中には、嘔吐に伴う吐血と、咳に伴う喀血(肺・気管からの出血)が含まれます。

  • 吐血: 嘔吐の動作(腹部の収縮、「ウエッ」という音)を伴い、食物残渣が混じることが多い
  • 喀血: 咳き込みを伴い、泡立った鮮血であることが多い。食物は混じらない

いずれも緊急性が高いため、区別がつかない場合でも速やかに受診してください。

原因1:口腔内の疾患

猫の口腔内に出血源がある場合、嘔吐時に血液が混じって吐血に見えることがあります。

口腔内出血の主な原因

  • 重度の歯周病: 歯茎からの出血。高齢猫に多い
  • 口内炎・歯肉口内炎: 猫に多い疾患で、口腔粘膜の広範な炎症により出血しやすくなる
  • 口腔内腫瘍: 扁平上皮がん、線維肉腫など。潰瘍を伴い出血する
  • 外傷: 硬いものを噛んだ際の傷、骨片による損傷

口腔内が原因の場合、吐いたものに鮮紅色の血液が混じり、よだれに血液が混じっていることもあります。口を開けて観察すると出血源が見つかることがあります。

原因2:胃潰瘍・胃炎

胃の粘膜が傷ついて出血する疾患です。猫の胃潰瘍は犬ほど多くはありませんが、以下の原因で発生します。

胃潰瘍の原因

  • NSAIDS(非ステロイド性抗炎症薬)の使用: 人間用の鎮痛剤(イブプロフェン、アスピリンなど)を猫が誤食した場合
  • ステロイドの長期使用
  • ストレス性胃潰瘍: 重症疾患、手術後、入院中のストレス
  • 肝疾患・腎疾患に続発する消化管出血
  • ヘリコバクター感染(猫では議論がある)

胃潰瘍による吐血はコーヒー残渣様(暗赤色~茶褐色)のことが多いですが、大量出血の場合は鮮血を吐くこともあります。黒色便(メレナ)を伴うことがあります。

原因3:異物の誤食

猫が針、糸、骨片、プラスチック片などの鋭利な異物を飲み込むと、食道や胃の粘膜を傷つけて出血します。

猫が飲み込みやすい危険な異物

  • 縫い針と糸(猫は糸が大好きで、針ごと飲み込む事故が多い)
  • ヘアゴム、輪ゴム
  • 骨片(鶏の骨など)
  • おもちゃの小さなパーツ
  • 観葉植物の尖った葉

糸状異物(ひも、糸)は消化管に絡まって腸閉塞を引き起こし、腸壁を切り裂く「線状異物」として非常に危険です。吐血に加えて食欲廃絶、腹痛、元気消失が見られた場合は緊急手術が必要になることがあります。

原因4:中毒

猫にとって有毒な物質を摂取した場合、消化管の粘膜障害や凝固異常により吐血することがあります。

特に危険な中毒物質

中毒物質 メカニズム 緊急度
ユリ(花、葉、花粉、花瓶の水) 急性腎不全 → 消化管出血 極めて高い
殺鼠剤(ワルファリン系) 凝固障害 → 全身性出血 極めて高い
NSAIDS(人間用鎮痛剤) 胃粘膜障害 → 胃潰瘍 高い
不凍液(エチレングリコール) 急性腎不全 → 消化管出血 極めて高い
アセトアミノフェン 肝毒性 → 凝固障害 極めて高い

中毒が疑われる場合は、何をいつどのくらい摂取したかの情報が治療に不可欠です。可能であれば原因物質のパッケージを持参してください。

原因5:消化管腫瘍

高齢猫で繰り返し吐血する場合、消化管の腫瘍を疑う必要があります。

猫に多い消化管腫瘍

  • 消化管リンパ腫: 猫の消化管腫瘍で最も多い。慢性的な嘔吐、下痢、体重減少を伴う
  • 肥満細胞腫(消化管型): 胃や腸に発生し、ヒスタミン放出による胃潰瘍を引き起こす
  • 腺がん: 胃や腸の粘膜から発生

初期は間欠的な嘔吐のみで、進行すると吐血、黒色便、食欲低下、体重減少が見られます。

原因6:凝固障害

血液が正常に固まらない病態があると、消化管を含む全身で出血しやすくなります。

凝固障害の原因

  • 殺鼠剤(抗凝固薬)の摂取
  • 重度の肝疾患(凝固因子の産生低下)
  • 播種性血管内凝固症候群(DIC)
  • 血小板減少症

凝固障害では吐血だけでなく、鼻血、皮下出血(あざ)、血尿、血便なども同時に見られることがあります。

受診の判断基準

緊急受診(時間外でもすぐに)

  • 大量の鮮血を吐いた
  • 繰り返し血を吐いている
  • ぐったりしている、意識がもうろうとしている
  • 歯茎や舌が白い(貧血のサイン)
  • 中毒物質の摂取が疑われる
  • 黒色便(メレナ)を伴っている
  • 呼吸が荒い、体温が低い

当日中の受診を推奨

  • 少量の血液が嘔吐物に混じっている
  • 猫は比較的元気で食欲もあるが、血を吐いた事実がある
  • 口の中に出血源が見つかるが止まっている

経過観察可能(ただし注意深く)

  • 激しく嘔吐した後に嘔吐物にごく少量のピンク色の筋が見える程度(胃粘膜の微小出血の可能性)

ただし、猫の吐血は基本的に「異常」であるため、少量であっても一度は獣医師の診察を受けることを強くおすすめします。

動物病院での検査

検査項目 目的 費用の目安
身体検査・口腔内検査 口腔内出血源の確認、腹部触診 1,000~2,000円
血液検査(CBC・生化学) 貧血の程度、臓器機能、炎症の有無 5,000~15,000円
凝固系検査 血液凝固能の評価 3,000~8,000円
レントゲン検査 異物、腫瘤、消化管の異常 3,000~8,000円
腹部超音波検査 消化管壁の肥厚、腫瘤、リンパ節の評価 3,000~8,000円
内視鏡検査 食道・胃・十二指腸の直接観察・生検 30,000~80,000円
CT検査 腫瘍の広がり、転移の評価 30,000~60,000円

受診までに飼い主ができること

やるべきこと

  • 吐いたものをスマホで撮影する(色、量、血液の混じり方、食物残渣の有無)
  • 吐いたものの一部をビニール袋に入れて持参する
  • いつから症状が始まったか、何回吐いたかをメモする
  • 中毒が疑われる場合は原因物質を特定する(植物の種類、薬のパッケージなど)
  • 猫を安静にさせ、無理に食事や水を与えない
  • 嘔吐物で窒息しないよう、横向きに寝かせる

やってはいけないこと

  • 自己判断で人間用の胃薬や止血剤を投与する
  • 無理に食事を与える
  • 「少量だから大丈夫」と放置する
  • 嘔吐を止めようとして口を押さえる
  • 自己判断で吐かせようとする

よくある質問

Q. 猫が血を吐いたらすぐ病院に行くべきですか?

鮮血が複数回、コーヒー残渣様(黒褐色)、元気消失や黒色便を伴う場合は即時受診が目安です。少量のピンク色の筋が1回のみで元気・食欲がある場合は半日〜24時間以内の受診で対応するケースが多くなっています。ユリ・観葉植物・人薬の摂取が疑われる場合は症状の軽重に関わらず即時受診してください。

Q. 自宅でできる応急処置はありますか?

吐いたものの写真撮影と現物の保存(ジップロック等)が最重要の準備です。水・食事は与えず、可能な範囲で猫を安静にして搬送してください。中毒が疑われる場合でも自己判断で吐かせる・水を飲ませる行為は危険です。応急処置より搬送スピードを優先するのが基本です。

Q. 治療費はどのくらいかかりますか?

初診・血液検査・X線で1〜3万円、内視鏡検査が必要な場合は5〜10万円、入院・輸液・手術を伴うと10〜30万円が目安となります。中毒治療では解毒剤・集中治療で20万円超になるケースもあります。各病院での見積もりを事前確認し、ペット保険の補償範囲も確認してください。

Q. 再発を防ぐにはどうすればよいですか?

ストレス源の除去(多頭飼育の見直し・隠れ家確保)、ユリ・観葉植物・人薬の手の届かない場所への移動、定期健康診断(年1回以上、高齢猫は半年に1回)が基本です。胃炎・胃潰瘍の既往がある場合は獣医師の指示に従い処方食やケアを継続してください。

Q. 何科を受診すればよいですか?

一般内科・消化器科を標榜する動物病院でまず受診するのが目安です。中毒・誤食が疑われる場合は夜間救急対応病院、繰り返す吐血・腫瘍が疑われる場合は内視鏡検査対応病院や二次診療施設への紹介となるケースもあります。病院選びに迷う場合は最寄りの一般病院で初期診察を受けてから紹介状を依頼するのが実践的です。


まとめ

猫が血を吐いた場合は、基本的にできるだけ早く動物病院を受診することが原則です。鮮紅色の血液は口腔や食道からの新しい出血を、暗赤色~茶褐色は胃からの出血を示唆します。特に中毒物質(ユリ、殺鼠剤など)の摂取が疑われる場合は一刻を争います。吐いたものの写真を撮影し、可能であれば現物も持参して、速やかに動物病院を受診してください。「大丈夫だろう」と自己判断で様子を見ることが最も危険です。

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