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犬のACTH刺激試験の費用と目的【獣医師監修】
費用ガイド

犬のACTH刺激試験の費用と目的【獣医師監修】

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監修: 監修獣医師(後日記入)

犬のACTH刺激試験の費用と目的【獣医師監修】

犬のACTH刺激試験は、副腎皮質の機能を評価するためのホルモン検査です。クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)やアジソン病(副腎皮質機能低下症)といった副腎疾患の確定診断に用いられ、治療のモニタリングにも欠かせません。「多飲多尿が続いている」「毛が薄くなってきた」「急にぐったりした」などの症状から動物病院でACTH刺激試験を勧められた飼い主の方に向けて、検査の目的、費用の相場、検査の流れ、結果の見方までを獣医師監修のもとで詳しく解説します。

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この記事のポイント

  • ACTH刺激試験は副腎皮質ホルモン(コルチゾール)の分泌能を調べる検査
  • 検査費用は1〜3万円が相場で、外注検査の場合は結果まで数日かかる
  • クッシング症候群とアジソン病の確定診断に使われる
  • 検査は合成ACTH製剤を注射し、投与前後の血中コルチゾール値を比較する
  • 治療開始後のモニタリングにも定期的に実施される
  • 費用にはACTH製剤代、採血代、コルチゾール測定代が含まれる
  • 検査の精度を高めるために、事前にステロイド剤の休薬が必要な場合がある

ACTH刺激試験とは

ACTH刺激試験の仕組み

ACTHとは副腎皮質刺激ホルモン(Adrenocorticotropic Hormone)の略称です。脳の下垂体から分泌され、副腎皮質に作用してコルチゾール(ストレスホルモン)の産生を促します。

ACTH刺激試験では、合成ACTH製剤(テトラコサクチド/コシントロピン)を犬に静脈注射し、投与前と投与後(通常1時間後)の血中コルチゾール濃度を測定します。合成ACTHによって副腎を最大限刺激したときのコルチゾールの反応を見ることで、副腎皮質が正常に機能しているかどうかを判定します。

ACTH刺激試験で診断できる病気

疾患名 概要 ACTH刺激試験での特徴
クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症) 副腎からコルチゾールが過剰に分泌される病気 投与後のコルチゾール値が異常に高い
アジソン病(副腎皮質機能低下症) 副腎からコルチゾールがほとんど分泌されなくなる病気 投与前・投与後ともにコルチゾール値が低い
医原性クッシング症候群 ステロイド剤の長期投与で副腎が萎縮した状態 ACTH刺激に対する反応が低下している

クッシング症候群は中高齢の小型犬に多く、多飲多尿、腹部膨満、脱毛、皮膚の菲薄化などの症状が特徴です。アジソン病は若い犬にも発症し、急性の虚脱、嘔吐、下痢、徐脈などの重篤な症状を引き起こすことがあります。


ACTH刺激試験の費用

費用の内訳

費用項目 金額の目安 備考
初診料・再診料 1,000〜3,000円 初診の場合はやや高い
採血(2回分) 2,000〜4,000円 投与前と投与後の計2回
合成ACTH製剤 3,000〜8,000円 テトラコサクチドまたはコシントロピン
コルチゾール測定(2検体) 4,000〜10,000円 院内測定か外注検査かで変動
合計 10,000〜25,000円

費用に影響する要因

ACTH刺激試験の費用が病院によって異なる主な理由は以下のとおりです。

  • 合成ACTH製剤の種類: テトラコサクチド(コートロシン)とコシントロピンでは薬価が異なる。コシントロピンのほうが比較的安価だが、入手困難な場合がある
  • コルチゾール測定の方法: 院内に免疫測定装置がある病院では即日結果が出るが、外注検査では数日かかる代わりに費用が抑えられることもある
  • 犬の体重: 大型犬ではACTH製剤の使用量が増えるため費用がやや高くなる
  • 追加検査の有無: ACTH刺激試験単独ではなく、血液化学検査や腹部エコーと組み合わせて実施する場合が多い

関連する追加検査の費用

ACTH刺激試験に加えて、副腎疾患の診断精度を高めるために以下の検査を同時に行うことがあります。

検査項目 費用の目安 目的
血液一般検査(CBC) 3,000〜5,000円 白血球パターン(ストレスレスポンス)の確認
血液化学検査(生化学16項目以上) 5,000〜10,000円 ALPの上昇、コレステロール値、電解質の確認
腹部超音波(エコー) 5,000〜10,000円 副腎の大きさ・形態の評価、副腎腫瘍の検出
低用量デキサメタゾン抑制試験(LDDS) 8,000〜20,000円 クッシング症候群の病型鑑別(下垂体性 vs 副腎腫瘍性)
尿検査(尿比重含む) 2,000〜4,000円 多飲多尿の客観的評価
尿中コルチゾール/クレアチニン比 3,000〜6,000円 スクリーニング検査として有用

副腎疾患が疑われた場合のトータルの検査費用は、ACTH刺激試験を含めて3〜6万円程度になることが一般的です。


ACTH刺激試験の流れ

検査前の準備

  • 絶食は不要: ACTH刺激試験は通常、絶食の必要はない(ただし、同日に他の血液検査を行う場合は12時間の絶食を指示されることがある)
  • ステロイド剤の休薬: プレドニゾロンなどのステロイド剤を投与中の場合、検査前に一定期間(通常24時間以上)の休薬が必要。ステロイドの外用剤(点耳薬、点眼薬を含む)も結果に影響するため、獣医師に使用状況を必ず伝える
  • トリロスタン投与中の場合: クッシング症候群の治療薬であるトリロスタン(アドレスタン)の効果判定のためにACTH刺激試験を行う場合は、トリロスタン投与後4〜6時間のタイミングで検査する

検査当日の流れ

  1. 来院・問診: 現在の症状、投薬状況の確認
  2. 採血(1回目): ACTH投与前のベースラインとなる血中コルチゾール値を測定するための採血
  3. 合成ACTH製剤の投与: テトラコサクチドまたはコシントロピンを静脈注射(または筋肉注射)
  4. 待機(1時間): 投与後、病院内で1時間待機する。犬は安静にしている必要がある
  5. 採血(2回目): 投与後1時間の血中コルチゾール値を測定するための採血
  6. 会計・帰宅: 院内測定の場合は当日に結果説明、外注の場合は後日連絡

検査全体の所要時間はおよそ1.5〜2時間です。犬への身体的負担は採血2回分と注射1回のみで、麻酔や入院は不要です。


ACTH刺激試験の結果の見方

コルチゾール基準値と判定

判定 投与前コルチゾール 投与後コルチゾール 疑われる病態
正常 1.0〜5.0 μg/dL 6.0〜17.0 μg/dL 副腎機能は正常
クッシング症候群の疑い 正常〜やや高値 22.0 μg/dL以上 副腎皮質が過剰に反応している
アジソン病の疑い 2.0 μg/dL未満 2.0 μg/dL未満 副腎皮質がACTHに反応しない
医原性クッシング 2.0 μg/dL未満 正常下限〜低値 外因性ステロイドによる副腎萎縮

注意点として、ACTH刺激試験のみでクッシング症候群を確定診断することは推奨されません。臨床症状、血液検査所見、画像検査の結果を総合的に判断する必要があります。ACTH刺激試験の感度はクッシング症候群に対して約60〜85%とされており、陰性でもクッシング症候群を完全に否定することはできません。

結果が異常だった場合の次のステップ

  • クッシング症候群が疑われる場合: 低用量デキサメタゾン抑制試験(LDDS)や腹部エコーで副腎の形態を評価し、下垂体性か副腎腫瘍性かを鑑別する
  • アジソン病が疑われる場合: 電解質(ナトリウム、カリウム)の測定と心電図検査を行い、緊急性を判断する。アジソンクリーゼ(急性副腎不全)の場合は緊急治療が必要
  • 判定保留の場合: 2〜4週間後に再検査を行う、または低用量デキサメタゾン抑制試験など別の検査法で評価する

治療モニタリングとしてのACTH刺激試験

クッシング症候群の治療モニタリング

クッシング症候群の内科治療(トリロスタン/ミトタンによる治療)を開始した後は、薬の効果と安全性を確認するためにACTH刺激試験を定期的に実施します。

モニタリング時期 頻度 目的
治療開始後10〜14日 1回 初期投与量の効果判定
治療開始後1か月 1回 用量調整の必要性を判断
安定期 3〜6か月に1回 継続的な効果確認・副腎抑制の過剰がないか確認

治療目標は、トリロスタン投与後4〜6時間のACTH刺激後コルチゾール値が1.5〜5.4 μg/dLの範囲に入ることです。コルチゾール値が1.0 μg/dL未満に低下した場合は副腎抑制が過剰であり、トリロスタンの減量または休薬が必要です。

モニタリングにかかる年間費用

項目 頻度 1回あたりの費用 年間費用の目安
ACTH刺激試験 年2〜4回 10,000〜25,000円 20,000〜100,000円
血液化学検査 年2〜4回 5,000〜10,000円 10,000〜40,000円
腹部エコー 年1〜2回 5,000〜10,000円 5,000〜20,000円
トリロスタン薬代 毎日(365日分) --- 36,000〜120,000円
年間合計 71,000〜280,000円

クッシング症候群は生涯にわたる治療と検査が必要な慢性疾患であり、年間の治療費は7〜28万円程度が見込まれます。


ACTH刺激試験を受ける際の注意点

飼い主が気をつけるべきこと

  • 投薬状況を正確に伝える: ステロイド剤(内服・外用・点耳・点眼を含む)、プロゲステロン製剤、ケトコナゾールなどはコルチゾール測定に影響する可能性がある
  • 検査前のストレスを最小限に: 強いストレスでコルチゾール値が上昇するため、待合室では安静に過ごせるよう配慮する
  • 結果だけで判断しない: ACTH刺激試験は万能ではなく、臨床症状や他の検査結果と合わせて総合的に判断されることを理解する
  • 費用を事前に確認する: 病院によって費用が異なるため、予約時に概算費用を確認しておくと安心

ペット保険の適用について

ACTH刺激試験は診断目的の検査であり、症状がある場合(多飲多尿、脱毛、元気消失など)は多くのペット保険で補償対象となります。ただし、健康診断(予防目的)として実施する場合は補償対象外になるのが一般的です。保険請求時には、検査の必要性を示す診断名が記載された明細書が必要です。


よくある質問(FAQ)

Q1. ACTH刺激試験は犬に痛みやリスクはありますか?

ACTH刺激試験は非常に安全な検査です。犬への負担は採血2回と注射1回のみで、合成ACTH製剤による重篤な副作用の報告はきわめて稀です。ごく一部の犬で注射直後に軽い吐き気や興奮がみられることがありますが、一時的なものです。検査中の1時間は病院内で安静にしている必要がありますが、入院や麻酔は不要です。

Q2. ACTH刺激試験と低用量デキサメタゾン抑制試験(LDDS)の違いは何ですか?

ACTH刺激試験は副腎に直接刺激を与えてコルチゾールの産生能力を評価する検査で、所要時間は約1時間です。一方、低用量デキサメタゾン抑制試験(LDDS)はデキサメタゾンを投与した後のコルチゾールの抑制パターンを見る検査で、所要時間は約8時間です。LDDSはクッシング症候群に対する感度がACTH刺激試験よりも高く(約90〜95%)、下垂体性と副腎腫瘍性の鑑別にも役立ちます。ただし、LDDSは他の慢性疾患やストレスで偽陽性が出やすいという欠点があります。獣医師は症状や状況に応じて最適な検査法を選択します。

Q3. 検査費用を抑える方法はありますか?

いくつかの方法があります。まず、ペット保険に加入している場合は保険適用の対象になるか確認してください。次に、動物病院によってACTH製剤の種類やコルチゾール測定の方法が異なるため、事前に複数の病院に費用を問い合わせて比較することも有効です。また、かかりつけ医がACTH刺激試験を実施していない場合でも、採血だけ行って検体を外注検査に出すことで費用を抑えられるケースがあります。なお、ACTH刺激試験を含む内分泌検査は専門性が高いため、費用だけで病院を選ぶのではなく、副腎疾患の診療経験がある病院を選ぶことが重要です。

Q4. ACTH刺激試験の結果が正常でもクッシング症候群の可能性はありますか?

あります。ACTH刺激試験のクッシング症候群に対する感度は約60〜85%であり、クッシング症候群であっても結果が正常範囲内に収まる(偽陰性)ケースが一定数存在します。特に、副腎腫瘍性のクッシング症候群ではACTH刺激試験の感度が低い傾向があります。臨床症状が強く疑わしい場合は、低用量デキサメタゾン抑制試験や腹部エコーなど追加の検査を行い、総合的に判断します。


まとめ

犬のACTH刺激試験は、クッシング症候群やアジソン病といった副腎疾患の診断と治療モニタリングに不可欠な検査です。費用は1〜2.5万円程度で、検査自体の犬への負担は軽微です。多飲多尿や脱毛、急な元気消失などの症状が見られる場合は、早めに動物病院を受診し、必要に応じてACTH刺激試験を含む精密検査を受けることをお勧めします。

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