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犬の腫瘍摘出手術の費用は5〜30万円|良性と悪性の違い
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犬の腫瘍摘出手術の費用は5〜30万円|良性と悪性の違い

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監修: pet-dock獣医師監修チーム

犬の腫瘍摘出手術の費用は5〜30万円|良性と悪性の違い【獣医師監修】

犬の腫瘍摘出手術の費用は、腫瘍の大きさ・場所・良性か悪性かによって5万〜30万円が一般的な相場です。小さな皮膚腫瘍の切除であれば3万〜10万円、内臓の腫瘍摘出では20万〜50万円以上になることもあります。この記事では、腫瘍の種類別の手術費用、術前検査や病理検査の費用、悪性腫瘍の場合の化学療法の費用まで、トータルの費用を獣医師監修で解説します。

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この記事のポイント

  • 犬の腫瘍手術費用は5万〜30万円が相場(腫瘍の種類・大きさ・場所で変動)
  • 術前検査(細胞診・血液検査・画像検査)で1万〜8万円、病理検査で1万〜2万円が別途必要
  • 悪性腫瘍の場合、化学療法の費用が1クール5万〜30万円追加されることがある
  • 良性腫瘍でも放置すると増大するリスクがあり、早期の摘出が費用を抑えることにもつながる
  • ペット保険は腫瘍の手術・化学療法ともに補償対象となるケースが多い

犬の腫瘍の種類|良性と悪性で治療方針が異なる

犬は他のペットと比較して腫瘍の発生率が高く、特に高齢犬では体表にしこりが見つかることが珍しくありません。腫瘍は大きく「良性腫瘍」と「悪性腫瘍(がん)」に分類され、それぞれ治療方針と費用が異なります。

良性腫瘍と悪性腫瘍の違い

特徴 良性腫瘍 悪性腫瘍(がん)
増殖速度 ゆっくり 速いことが多い
転移 しない する可能性がある
周囲への浸潤 境界が明瞭 周囲に浸潤しやすい
手術後の再発 少ない 再発リスクがある
治療方針 手術で完治を目指す 手術+追加治療(化学療法・放射線)を検討
費用の傾向 手術費のみで済むことが多い 手術+追加治療で高額になりやすい

重要: 腫瘍が良性か悪性かは、見た目だけでは判断できません。細胞診(針を刺して細胞を採取する検査)や、摘出後の病理検査で確定します。

犬に多い腫瘍の種類

腫瘍の種類 良性/悪性 好発部位 好発犬種
脂肪腫 良性 体幹・四肢の皮下 高齢犬全般
組織球腫 良性(多くは自然退縮) 頭部・四肢 若齢犬
乳腺腫瘍 良性50%・悪性50% 乳腺 未避妊のメス犬
肥満細胞腫 悪性(グレードによる) 皮膚全般 パグ、ボクサー、ラブラドール
悪性黒色腫(メラノーマ) 悪性 口腔内・爪 高齢犬全般
リンパ腫 悪性 リンパ節全身 ゴールデンレトリバー、ボクサー
血管肉腫 悪性 脾臓・心臓・肝臓 ジャーマンシェパード、ゴールデンレトリバー
骨肉腫 悪性 四肢の長管骨 大型犬全般

腫瘍の種類別|手術費用の相場

体表(皮膚・皮下)の腫瘍

体表にできた腫瘍は、日帰り〜1泊の手術で摘出できることが多く、比較的費用が抑えられます。

腫瘍の種類・大きさ 手術費用 入院期間 備考
皮膚の小さな腫瘍(1cm以下) 30,000〜80,000円 日帰り 局所麻酔で対応できる場合も
皮膚の腫瘍(1〜3cm) 50,000〜120,000円 日帰り〜1泊 全身麻酔が一般的
皮膚の大きな腫瘍(3cm以上) 80,000〜200,000円 1〜3泊 皮弁形成が必要な場合は高額に
皮下の脂肪腫(大型) 60,000〜150,000円 日帰り〜1泊 サイズと部位で変動
肥満細胞腫(広範囲切除) 100,000〜300,000円 2〜5泊 マージン(余白)を大きく取る必要がある

乳腺腫瘍

手術範囲 手術費用 入院期間 備考
腫瘤のみ摘出 50,000〜120,000円 1〜2泊 小さな腫瘤が1つの場合
片側乳腺摘出 80,000〜200,000円 2〜5泊 片側の乳腺列を全て摘出
両側乳腺摘出 150,000〜350,000円 3〜7泊 最も広範な手術
乳腺摘出+避妊手術同時 上記+20,000〜40,000円 同時に行うことが推奨される場合がある

内臓の腫瘍

内臓の腫瘍は開腹(場合により開胸)手術が必要であり、手術の難度・入院期間ともに体表の腫瘍より大きくなります。

部位 手術費用 入院期間 備考
脾臓の腫瘍(脾臓摘出) 100,000〜250,000円 3〜5泊 血管肉腫の場合は緊急手術になることも
肝臓の腫瘍(肝葉切除) 200,000〜400,000円 5〜10泊 腫瘍の位置によって難度が大きく異なる
肺の腫瘍(肺葉切除) 250,000〜500,000円 5〜10泊 開胸手術のため高額
腹腔内腫瘍(その他) 200,000〜500,000円 5〜10泊 副腎・腎臓・腸管など

術前検査の費用|手術前に必要な検査

腫瘍の手術前には、腫瘍の性質を調べる検査と、全身麻酔に耐えられるかを確認する検査が必要です。

術前検査の費用一覧

検査項目 費用目安 目的
細胞診(FNA) 3,000〜8,000円 針で細胞を採取し、腫瘍の種類を推定
血液検査(CBC・生化学) 5,000〜15,000円 全身状態・臓器機能の確認
レントゲン検査 3,000〜8,000円 肺転移の有無を確認
超音波検査 3,000〜8,000円 腹腔内の転移・腫瘍の広がりを確認
CT検査 30,000〜80,000円 腫瘍の正確な大きさ・位置・転移の精密検査
心電図・心エコー 3,000〜8,000円 麻酔の安全性評価
術前検査の合計 15,000〜80,000円 CT検査の有無で大きく変動

CT検査はすべてのケースで必要なわけではありませんが、内臓の腫瘍や悪性が疑われる場合には実施が推奨されます。犬のCT・MRI検査の費用でさらに詳しく解説しています。

病理検査(手術後)

手術で摘出した腫瘍は、病理検査に出して良性・悪性の確定診断を行います。

検査項目 費用目安 備考
病理組織検査(通常) 10,000〜20,000円 結果が出るまで7〜14日
免疫組織化学染色(追加) 5,000〜15,000円 腫瘍の悪性度をさらに詳しく調べる場合
マージン評価 病理検査に含まれる 切除断端に腫瘍細胞が残っていないかを評価

悪性腫瘍の追加治療|化学療法・放射線の費用

悪性腫瘍の場合、手術だけでなく化学療法(抗がん剤治療)や放射線治療が必要になることがあります。

化学療法の費用

腫瘍の種類 化学療法のプロトコル 1回の費用 1クールの費用 治療期間
リンパ腫(CHOP) 週1回の投薬を組み合わせ 10,000〜30,000円/回 150,000〜400,000円 約6か月
肥満細胞腫 分子標的薬(トセラニブ等) 15,000〜40,000円/月 継続投与
血管肉腫 ドキソルビシン 15,000〜30,000円/回 80,000〜180,000円 約4か月
骨肉腫 カルボプラチン 20,000〜40,000円/回 100,000〜240,000円 約4か月

犬のリンパ腫の詳しい解説もあわせて参考にしてください。

放射線治療の費用

放射線治療は大学附属動物病院や一部の専門病院でのみ受けられます。

項目 費用目安
1回あたり 30,000〜80,000円
1クール(10〜20回) 300,000〜800,000円
緩和的放射線治療(3〜5回) 100,000〜300,000円

放射線治療は全身麻酔下で行われるため、麻酔費用が毎回発生します。通院頻度が高く(週3〜5回)、遠方の専門病院への通院が必要になるケースでは、交通費も無視できない負担になります。


手術費用のトータルシミュレーション

腫瘍の種類別に、検査から手術、術後管理までのトータル費用をシミュレーションします。

ケース別の費用シミュレーション

ケース 術前検査 手術費用 入院費 病理検査 追加治療 総額目安
小さな脂肪腫(良性) 10,000〜20,000円 50,000〜100,000円 0〜5,000円 10,000〜15,000円 なし 7万〜14万円
乳腺腫瘍・片側摘出(良性) 15,000〜30,000円 80,000〜200,000円 10,000〜30,000円 10,000〜20,000円 なし 12万〜28万円
肥満細胞腫・広範囲切除 20,000〜50,000円 100,000〜300,000円 10,000〜50,000円 10,000〜20,000円 月15,000〜40,000円 15万〜42万円+月額
脾臓腫瘍(血管肉腫) 30,000〜80,000円 100,000〜250,000円 15,000〜50,000円 10,000〜20,000円 80,000〜180,000円 24万〜58万円
骨肉腫(断脚+化学療法) 30,000〜80,000円 150,000〜300,000円 20,000〜70,000円 10,000〜20,000円 100,000〜240,000円 31万〜71万円

ペット保険は腫瘍の手術に適用される?

保険適用の傾向

項目 保険適用 備考
術前検査(細胞診・血液検査・画像検査) 適用されるケースが多い 治療に必要な検査として
手術費用 適用されるケースが多い 手術補償がある保険の場合
入院費 適用されるケースが多い 日数上限に注意
病理検査 適用されるケースが多い 診断目的の検査として
化学療法(抗がん剤) 保険会社による 通院補償で対応する保険が多い
放射線治療 保険会社による 高額になるため年間上限に達しやすい

70%補償プランで手術総額が30万円の場合、自己負担は約9万円(保険負担21万円)です。化学療法を含めると長期にわたる通院が必要になるため、通院日数の上限や年間限度額をよく確認しましょう。ペット保険の比較ガイドはこちら


早期発見が費用を抑える鍵

腫瘍は早期に発見・摘出するほど、手術の範囲が小さく済み、費用も抑えられます。以下のセルフチェックを日常的に行いましょう。

  • 体を撫でるときにしこりがないか確認する: 入浴やブラッシングのタイミングが理想的
  • しこりの大きさの変化を記録する: スマートフォンで写真を撮り、日付とサイズをメモ
  • 口の中も定期的にチェック: 歯茎や舌にできものがないか
  • 定期健診を受ける: 年1〜2回の健康診断で触診・血液検査を実施
  • 7歳以上は年2回の健診を推奨: 高齢犬は腫瘍の発生率が上がる

動物病院の手術費用の全体像はこちらもあわせてご確認ください。


よくある質問(FAQ)

Q. 犬のしこりは全て手術で取るべきですか?

すべてのしこりが手術適応になるわけではありません。まず細胞診を行い、腫瘍の種類を推定します。脂肪腫のような良性腫瘍で小さく増大傾向がない場合は経過観察することもあります。ただし、急速に大きくなっている場合や、悪性が疑われる場合は早期の摘出が推奨されます。獣医師と相談のうえ、手術のメリットとリスクを比較して判断しましょう。

Q. 悪性腫瘍と診断されたら必ず化学療法が必要ですか?

悪性腫瘍でも、手術で完全に切除できれば化学療法が不要なケースもあります。化学療法が推奨されるのは、転移のリスクが高い腫瘍(リンパ腫、血管肉腫、骨肉腫など)や、手術で取りきれなかった場合です。化学療法の副作用や費用も考慮し、犬のQOL(生活の質)を最優先に治療方針を決めることが大切です。犬の皮膚病との鑑別についてもご参考ください。

Q. 高齢の犬でも手術は受けられますか?

年齢だけで手術の可否は決まりません。10歳以上の犬でも、術前検査で全身状態が良好であれば手術を受けるケースは多くあります。高齢犬の場合は、手術のリスクと腫瘍を放置するリスクを比較し、犬の生活の質を考えた判断が重要です。心臓や腎臓に問題がある場合は麻酔のリスクが高まるため、術前に十分な検査を行います。


まとめ

犬の腫瘍摘出手術の費用は、皮膚の小さな腫瘍で7万〜14万円、内臓の腫瘍で24万〜58万円以上がトータルの目安です。良性腫瘍であれば手術で完治を目指せることが多く、悪性腫瘍の場合は化学療法を含めた長期的な費用計画が必要になります。体のしこりに気づいたら「様子を見よう」と放置せず、まずは動物病院で細胞診を受けることが、愛犬の健康と費用の両面で最善の選択です。


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