動物病院の手術費用はいくら?手術別の料金相場と費用を抑える方法【獣医師監修】
この記事のポイント: 犬・猫の手術費用は手術の種類や病院によって大きく異なります。骨折、腫瘍摘出、椎間板ヘルニア、膝蓋骨脱臼など主要な手術の費用相場を一覧にまとめ、費用を抑える方法まで獣医師監修で解説します。
動物病院の手術費用は「自由診療」で病院ごとに異なる
人間の医療と異なり、動物病院の診療費は「自由診療」です。健康保険制度がないため、同じ手術でも病院によって費用が大きく異なります。日本獣医師会の調査によると、同一手術でも病院間で2〜3倍の価格差が生じることがあります。
手術費用には、一般的に以下の項目が含まれます。
| 費用項目 | 内容 | 目安金額 |
|---|---|---|
| 術前検査 | 血液検査・レントゲン・心電図 | 5,000〜20,000円 |
| 麻酔料 | 全身麻酔・局所麻酔 | 5,000〜30,000円 |
| 手術料 | 手術本体の料金 | 手術による |
| 入院費 | 術後の入院管理 | 3,000〜10,000円/日 |
| 薬代 | 術後の投薬・点滴 | 2,000〜10,000円 |
| 抜糸・再診 | 術後の経過確認 | 1,000〜3,000円 |
手術の見積もりを取る際は、上記の費用がすべて含まれているか確認することが重要です。
【独自】犬・猫の主要手術 費用相場一覧表
pet-dockが日本獣医師会の調査データ、ペット保険各社の公開情報、動物病院の公開料金表をもとに作成した、手術別の費用相場一覧です。
整形外科の手術
| 手術名 | 対象 | 費用相場 | 入院期間目安 |
|---|---|---|---|
| 骨折整復(ギプス固定) | 犬・猫 | 30,000〜60,000円 | 通院 |
| 骨折整復(プレート固定・ピン) | 犬・猫 | 120,000〜300,000円 | 3〜7日 |
| 膝蓋骨脱臼(パテラ)グレード2〜3 | 犬 | 150,000〜350,000円 | 3〜5日 |
| 膝蓋骨脱臼(パテラ)グレード4 | 犬 | 250,000〜450,000円 | 5〜7日 |
| 前十字靭帯断裂(TPLO) | 犬 | 250,000〜500,000円 | 3〜7日 |
| 椎間板ヘルニア(内科治療) | 犬 | 40,000〜80,000円 | 通院〜数日 |
| 椎間板ヘルニア(手術) | 犬 | 300,000〜500,000円 | 5〜14日 |
| 股関節形成不全(大腿骨頭切除) | 犬 | 150,000〜300,000円 | 3〜5日 |
軟部外科(腹部・胸部)の手術
| 手術名 | 対象 | 費用相場 | 入院期間目安 |
|---|---|---|---|
| 避妊手術(メス) | 犬 | 30,000〜60,000円 | 日帰り〜1日 |
| 避妊手術(メス) | 猫 | 15,000〜35,000円 | 日帰り〜1日 |
| 去勢手術(オス) | 犬 | 15,000〜30,000円 | 日帰り |
| 去勢手術(オス) | 猫 | 10,000〜20,000円 | 日帰り |
| 異物誤飲(内視鏡摘出) | 犬・猫 | 60,000〜150,000円 | 1〜2日 |
| 異物誤飲(開腹手術) | 犬・猫 | 150,000〜300,000円 | 3〜7日 |
| 子宮蓄膿症 | 犬・猫 | 100,000〜300,000円 | 3〜7日 |
| 胃捻転(胃固定術含む) | 犬 | 200,000〜400,000円 | 5〜10日 |
| 帝王切開 | 犬・猫 | 50,000〜150,000円 | 1〜3日 |
| 脾臓摘出 | 犬 | 100,000〜250,000円 | 3〜5日 |
| 会陰ヘルニア | 犬 | 100,000〜250,000円 | 3〜5日 |
腫瘍外科の手術
| 手術名 | 対象 | 費用相場 | 入院期間目安 |
|---|---|---|---|
| 皮膚腫瘍摘出(小さい体表腫瘍) | 犬・猫 | 30,000〜100,000円 | 日帰り〜1日 |
| 乳腺腫瘍摘出(片側) | 犬・猫 | 80,000〜200,000円 | 2〜5日 |
| 乳腺腫瘍摘出(両側) | 犬・猫 | 150,000〜350,000円 | 3〜7日 |
| 腹腔内腫瘍摘出 | 犬・猫 | 200,000〜500,000円 | 5〜10日 |
| 肥満細胞腫摘出 | 犬 | 100,000〜300,000円 | 2〜5日 |
眼科・歯科の手術
| 手術名 | 対象 | 費用相場 | 入院期間目安 |
|---|---|---|---|
| 歯石除去(スケーリング) | 犬・猫 | 15,000〜40,000円 | 日帰り |
| 抜歯(複数本) | 犬・猫 | 30,000〜100,000円 | 日帰り〜1日 |
| 全顎抜歯(猫の歯肉口内炎) | 猫 | 80,000〜200,000円 | 1〜3日 |
| 白内障手術(片眼) | 犬 | 200,000〜350,000円 | 2〜5日 |
| チェリーアイ整復 | 犬 | 30,000〜80,000円 | 日帰り〜1日 |
泌尿器科の手術
| 手術名 | 対象 | 費用相場 | 入院期間目安 |
|---|---|---|---|
| 尿道閉塞解除(カテーテル処置) | 猫 | 30,000〜80,000円 | 2〜5日 |
| 膀胱結石摘出 | 犬・猫 | 80,000〜200,000円 | 2〜5日 |
| 会陰尿道造瘻術 | 猫 | 100,000〜200,000円 | 5〜7日 |
犬種・猫種・体重による費用の違い
手術費用は動物の体重やサイズによっても変動します。
| 体重区分 | 例(犬) | 費用の目安(避妊手術の場合) |
|---|---|---|
| 小型犬(〜5kg) | チワワ、トイプードル | 25,000〜40,000円 |
| 中型犬(5〜15kg) | 柴犬、コーギー | 35,000〜55,000円 |
| 大型犬(15〜30kg) | ゴールデンレトリバー | 45,000〜70,000円 |
| 超大型犬(30kg〜) | グレートデン | 55,000〜80,000円以上 |
体重が大きいほど麻酔薬の使用量が増え、手術時間も長くなる傾向があるため、費用が高くなります。
犬種・猫種によってかかりやすい手術
| 犬種・猫種 | かかりやすい手術 |
|---|---|
| トイプードル、チワワ、ポメラニアン | 膝蓋骨脱臼 |
| ダックスフンド、フレンチブルドッグ | 椎間板ヘルニア |
| ゴールデンレトリバー、ラブラドール | 前十字靭帯断裂、腫瘍摘出 |
| スコティッシュフォールド | 骨軟骨異形成(関節手術) |
| 猫全般(特にオス猫) | 尿道閉塞解除 |
【独自】手術費用の「総額シミュレーター」 -- 見積もり時に確認すべき10項目
手術の見積書を受け取ったとき、以下の10項目がすべて含まれているかを確認することで、想定外の追加費用を防げます。pet-dockが獣医師への取材をもとに作成したチェックリストです。
- 術前血液検査: 麻酔の安全性を確認するための検査。含まれていない場合は+5,000〜15,000円
- 術前画像検査(レントゲン・エコー): 手術部位の詳細な確認。含まれていない場合は+3,000〜15,000円
- 全身麻酔料: 吸入麻酔・注射麻酔の種類。含まれていない場合は+10,000〜30,000円
- モニタリング料: 心電図・酸素飽和度などの術中監視。別途の場合+3,000〜10,000円
- 手術本体の費用: 見積書のメイン項目
- 入院費(1日あたり): 日数 x 日額で計算。別途の場合は+3,000〜10,000円/日
- 術後の点滴・輸液: 術後の回復に必要。別途の場合は+3,000〜8,000円/日
- 術後の投薬(抗生物質・鎮痛剤): 自宅での投薬期間分。別途の場合は+2,000〜8,000円
- 抜糸・術後再診: 術後1〜2週間後の確認。別途の場合は+1,000〜3,000円
- 病理検査(腫瘍の場合): 摘出した腫瘍の良性・悪性判定。別途の場合は+5,000〜15,000円
手術費用が払えないときの5つの対処法
高額な手術費用に備えるため、以下の方法を知っておきましょう。
1. ペット保険
加入済みの場合、手術費用の50〜70%(プランにより最大90%)が補償されます。ただし、加入前に発症していた病気や、予防目的の手術(避妊・去勢)は補償対象外の場合が多いため、事前に保険約款を確認してください。
2. 分割払い・クレジットカード
多くの動物病院ではクレジットカードでの支払いに対応しています。一括払い後にカード会社で分割払いやリボ払いに変更できる場合もあります。病院によっては独自の分割払い制度を設けていることもあるため、事前に相談しましょう。
3. ペットローン
ペット専用のローンや医療ローンを取り扱っている金融機関があります。動物病院が提携しているケースもあるため、受付で確認してください。
4. 自治体の助成金制度
避妊・去勢手術については、自治体や獣医師会が費用の一部を補助する助成金制度を設けている場合があります。お住まいの自治体のホームページで確認してください。
5. セカンドオピニオン
手術の必要性や費用に疑問がある場合は、他の動物病院でセカンドオピニオンを受けることも検討しましょう。ペットのセカンドオピニオンの費用相場と手順の記事も参考にしてください。
手術費用を事前に抑える3つのポイント
1. 複数の病院で見積もりを取る
自由診療のため、同じ手術でも病院によって費用が異なります。緊急性がない手術であれば、2〜3院で見積もりを取って比較することをおすすめします。
2. 若いうちにペット保険に加入する
高齢になると加入できないプランが増え、保険料も高くなります。犬・猫を迎えたタイミングでの加入が、長期的には最もコストパフォーマンスが良い選択です。
3. 予防医療を怠らない
定期的な健康診断やワクチン接種、フィラリア予防を継続することで、病気の早期発見・早期治療が可能になり、結果的に治療費を抑えられます。
よくある質問(FAQ)
Q. 動物病院の手術費用はなぜ高いのですか?
動物医療は人間の健康保険のような公的保険制度がないため、全額自己負担となります。また、全身麻酔、術中モニタリング、専門的な医療機器、術後管理など、人間の手術と同等の医療行為が必要となるためです。
Q. 手術前に必ず見積もりはもらえますか?
多くの動物病院では、手術前に概算の見積もりを出してくれます。ただし、開腹してみないと正確な費用がわからない場合(腹腔内腫瘍の広がりなど)もあるため、「最低〜最大」の幅で提示されることが一般的です。
Q. 手術費用にペット保険は使えますか?
加入しているペット保険のプランによります。手術補償が含まれるプランでは、50〜90%の割合で保険金が支払われます。ただし、待機期間中の手術、既往症に起因する手術、予防目的の手術は補償対象外となることが多いです。
Q. 緊急手術の場合、費用は高くなりますか?
夜間・休日の緊急手術の場合、通常の手術費用に加えて時間外加算(20〜100%増)がかかることが一般的です。夜間・救急の動物病院の探し方もあわせてご確認ください。
Q. 同じ手術でも費用に差があるのはなぜですか?
動物病院は自由診療のため、料金設定は各病院の判断に委ねられています。地域差(都市部は高め)、設備の充実度、専門医の有無、入院環境などが費用差の要因です。
この記事は2026年3月時点の情報をもとに作成しています。手術費用は動物病院によって異なりますので、必ず受診先の病院にご確認ください。
記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、個別の診断・治療を推奨するものではありません。愛犬・愛猫の症状については、かかりつけの獣医師にご相談ください。