犬の下痢の原因と病院に行くべき目安【獣医師監修】
愛犬が急に下痢をすると、「何が原因?」「病院に連れて行くべき?」と心配になりますよね。犬の下痢は食事の変化やストレスなど軽度な原因から、感染症や腸閉塞など命に関わる疾患まで幅広く存在します。この記事では、犬の下痢の原因・便の状態別の判断基準・自宅での対処法・受診のタイミングを獣医師監修のもと詳しく解説します。
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犬が下痢をする原因は?主な8つの理由
犬の下痢は、食べ物の変化・ストレス・感染症・寄生虫・内臓疾患など多くの原因で起こります。便の形状(水様便・泥状便・血便)と持続期間を確認し、緊急度を判断することが重要です。
1. 食事の急な変更
フードの切り替えを一気に行うと、腸内環境が急変して下痢を起こしやすくなります。新しいフードへの移行は7〜10日かけて段階的に行うのが基本です。
2. 食べ慣れないもの・拾い食い
散歩中の拾い食い、人間の食べ物(脂肪分の多いもの、ネギ類、チョコレートなど)の摂取が下痢の原因になります。特にネギ類やチョコレートは中毒を起こすため、食べた量がわかれば獣医師に伝えてください。
3. ストレス
引っ越し、ペットホテル、来客、花火や雷など環境の変化やストレスで腸の動きが乱れ、一過性の下痢が起こることがあります。
4. 感染症(ウイルス・細菌)
パルボウイルス、コロナウイルス、カンピロバクター、サルモネラなどの感染が激しい下痢を引き起こします。特にパルボウイルスは未ワクチンの子犬で致死率が高く、血便と激しい嘔吐を伴います。
5. 寄生虫
回虫、鞭虫、ジアルジア、コクシジウムなどの消化管内寄生虫が下痢の原因となります。子犬や外で過ごす時間が長い犬に多く、定期的な検便と駆虫が予防の基本です。
6. 膵炎
脂肪分の高い食事が引き金となり、膵臓が炎症を起こす疾患です。下痢に加えて嘔吐、腹痛、元気消失を伴うことが特徴です。詳しくは犬の膵炎の症状と治療をご覧ください。
7. 炎症性腸疾患(IBD)
免疫系の異常により腸壁に慢性的な炎症が起こる疾患です。慢性的な下痢・軟便が続き、体重減少を伴うことがあります。内視鏡検査と生検が確定診断に必要で、食事療法と免疫抑制剤で管理します。
8. 腫瘍
中高齢の犬で慢性的な下痢が続く場合、腸管のリンパ腫や腺癌などの腫瘍性疾患の可能性も考慮する必要があります。体重減少や食欲不振を伴う場合は早めに受診してください。
【独自】便の状態から判断する緊急度チャート
pet-dockが獣医師の知見をもとに作成した、便の状態別の緊急度判断チャートです。愛犬の便の状態と照らし合わせて、受診の目安にしてください。
| 便の状態 | 考えられる原因 | 緊急度 | 対応 |
|---|---|---|---|
| 軟便(形は保っている) | 食事の変化、軽度のストレス | 低 | 1〜2日様子見可 |
| 泥状便 | 消化不良、食物不耐症 | 低〜中 | 絶食後改善しなければ受診 |
| 水様便 | 感染症、重度のストレス | 中〜高 | 2回以上続けば当日受診 |
| 血便(鮮血) | 大腸の炎症・ポリープ | 高 | 当日中に受診 |
| 黒色タール便 | 上部消化管出血 | 高 | 至急受診 |
| 粘液便 | 大腸炎、寄生虫 | 中 | 翌日までに受診 |
| ゼリー状の血便 | 出血性胃腸炎(AHDS) | 高 | 至急受診 |
重要: 便はスマートフォンで写真を撮影し、受診時に獣医師に見せてください。可能であれば新しい便をラップに包んで持参すると、寄生虫検査や細菌培養に役立ちます。
犬の下痢の自宅での対処法
ステップ1: 半日〜1日の絶食で腸を休ませる
成犬の場合、12〜24時間の絶食で腸を休ませることが有効です。水分は脱水防止のため少量ずつ与えてください。子犬は低血糖リスクがあるため、長時間の絶食は推奨しません。子犬が水様便を出した場合はすぐに受診してください。
ステップ2: 消化のよい食事を少量ずつ再開
絶食後は、ゆでた鶏ささみ+白米を少量から開始し、便の状態を見ながら3〜5日かけて通常食に戻します。
| 日数 | 食事内容 | 量の目安 |
|---|---|---|
| 1日目 | ゆでた鶏ささみ+白米のおかゆ | 通常量の1/4を3〜4回に分けて |
| 2〜3日目 | ささみ+白米を少しずつ増量 | 通常量の1/2 |
| 4〜5日目 | 通常のフードを混ぜ始める | 通常量の3/4 |
| 6日目以降 | 通常のフードに完全に戻す | 通常量 |
ステップ3: 便の採取・記録
受診時に備え、新しい便をラップに包んで持参すると、寄生虫や感染症の検査に役立ちます。便の写真もスマートフォンで撮影しておきましょう。
整腸剤の使用
動物用の整腸剤(ビオイムバスター等)を常備しておくと便利です。ただし、人間用の下痢止めは犬に与えないでください。ロペラミド(人間用の下痢止め)は犬種によっては重篤な副作用を起こすことがあり、また細菌性の下痢では病原体の排泄を遅らせてしまう危険があります。
こんな症状があればすぐ病院へ(緊急サイン)
以下のいずれかに当てはまる場合は、当日中に動物病院を受診してください。
- 血便(鮮血または黒色タール便)が出ている
- 下痢が2日以上続いている
- 下痢と嘔吐が同時に起こっている
- 元気がなく、ぐったりしている
- 子犬(生後6ヶ月未満)の水様便
- 脱水の兆候がある(皮膚をつまんで戻りが遅い、歯茎が乾いている)
- 発熱(犬の正常体温は38.0〜39.2度。39.5度以上は発熱)がある
- 異物を飲み込んだ可能性がある
- 体重が目に見えて減っている
動物病院での検査と治療の流れ
一般的な検査内容と費用の目安
| 検査 | 内容 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| 身体検査・触診 | 腹部の痛み、脱水度の確認 | 1,000〜2,000円 |
| 検便(糞便検査) | 寄生虫、細菌の検出 | 1,000〜3,000円 |
| 血液検査(CBC・生化学) | 炎症、膵臓の酵素、腎臓・肝臓の数値 | 5,000〜15,000円 |
| 腹部レントゲン | 異物、腸閉塞、臓器の異常 | 4,000〜8,000円 |
| 腹部エコー(超音波) | 腸壁の肥厚、腹水の有無 | 4,000〜8,000円 |
| 内視鏡+生検 | IBDや腫瘍の確定診断 | 30,000〜80,000円 |
費用について詳しくは動物病院の診察料金ガイドをご覧ください。
主な治療法
- 輸液療法(点滴): 脱水の補正。軽度なら皮下点滴、重度なら静脈点滴で入院
- 抗菌薬: 細菌感染が原因の場合に使用。メトロニダゾールなど
- 駆虫薬: 寄生虫が原因の場合。フェンベンダゾールなど
- 食事療法: 消化器サポート用の療法食。低脂肪・高消化性のフードを処方
- プロバイオティクス: 腸内細菌叢の回復を促進
下痢を予防するための日常管理
犬の下痢を予防するために、以下のポイントを日頃から意識しましょう。
食事管理
- フードの切り替えは7〜10日かけて段階的に行う
- 脂肪分の多い食事・おやつを控える
- 人間の食べ物を与えない(特にネギ類、チョコレート、ぶどう)
- 散歩中の拾い食いを防止する
健康管理
まとめ
- 犬の下痢は食事の変化やストレスなど軽度な原因が多いが、感染症や異物誤飲など緊急性の高いケースもある
- 便の色・形状・頻度を観察し、写真や実物を受診時に持参すると診断に役立つ
- 成犬なら半日〜1日の絶食+消化のよい食事で改善することが多い
- 血便、2日以上続く下痢、嘔吐の併発、子犬の場合は速やかに受診を
- 人間用の下痢止めは犬に使用しないこと
よくある質問(FAQ)
Q1. 犬の下痢が1回だけで元気な場合、病院に行くべきですか?
1回だけの下痢で元気・食欲がある場合は、半日程度様子を見て問題ありません。ただし子犬やシニア犬、血便の場合は1回でも受診をおすすめします。翌日以降も続く場合は動物病院に相談してください。
Q2. 犬の下痢にヨーグルトは効きますか?
無糖・無脂肪のプレーンヨーグルトは腸内環境の改善に役立つ場合がありますが、乳糖不耐症の犬では逆効果になることもあります。まずは少量(小さじ1杯程度)から試し、症状が改善しない場合は獣医師にご相談ください。
Q3. 下痢のときに水を飲ませてもいいですか?
はい、下痢のときは脱水を防ぐために水分補給が重要です。少量ずつこまめに与えてください。大量に一気に飲むと嘔吐を誘発する場合があるため、氷をなめさせる方法も有効です。
Q4. 犬の下痢で動物病院を受診すると費用はどれくらいかかりますか?
初診料+検便で3,000〜5,000円程度、血液検査を含めると10,000〜20,000円程度が一般的です。点滴治療が必要な場合はさらに3,000〜5,000円程度が加算されます。ペット保険に加入していれば、自己負担を軽減できます。
Q5. 犬の下痢が慢性的に続く場合は何が考えられますか?
2週間以上続く慢性の下痢は、炎症性腸疾患(IBD)、食物アレルギー、膵外分泌不全、腫瘍などが考えられます。内視鏡検査や生検など、精密検査が必要になることがあります。かかりつけの獣医師に相談し、必要に応じてセカンドオピニオンを検討してください。
愛犬の下痢が心配なとき、まずはお近くの動物病院に相談しましょう。
この記事は獣医師の監修のもと作成されています。ただし、個々の症状は犬の状態や体質によって異なります。愛犬の下痢が続く場合は、自己判断せずに動物病院を受診してください。
参考資料: 日本獣医師会「家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査」、Merck Veterinary Manual "Diarrhea in Small Animals"、WSAVA Global Nutrition Guidelines
最終更新: 2026年4月1日
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