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犬の皮膚にイボ・しこり 良性と悪性の見分け方【獣医師監修】
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犬の皮膚にイボ・しこり 良性と悪性の見分け方【獣医師監修】

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監修: 監修獣医師(後日記入)

犬の皮膚にイボ・しこり 良性と悪性の見分け方【獣医師監修】

愛犬の身体を撫でているときにイボやしこりを見つけると、「もしかして癌では」と不安になる方は多いでしょう。犬の皮膚にできる腫瘤(しゅりゅう)は非常に多く、犬が動物病院を受診する理由の中でも上位に入ります。

幸い、犬の皮膚腫瘤の約60~80%は良性とされていますが、残りの20~40%は悪性腫瘍(癌)です。外見だけで良性・悪性を確定診断することはできないため、見つけたら必ず動物病院で検査を受けることが大切です。この記事では、犬の皮膚にできるイボやしこりの種類、良性と悪性を見分ける手がかり、検査方法と治療について解説します。

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この記事のポイント

  • 犬の皮膚腫瘤の約60~80%は良性だが、外見だけでは判断できない
  • 脂肪腫は最も多い良性腫瘍で、柔らかく動くのが特徴
  • 肥満細胞腫は犬の皮膚悪性腫瘍で最多であり、見た目が多彩で判断が難しい
  • 急速に大きくなる、硬い、周囲との境界が不明瞭なしこりは要注意
  • 細胞診(針生検)は痛みが少なく短時間で実施できる基本検査
  • 早期発見・早期治療が予後を大きく左右する

犬の皮膚にできるイボ・しこりの種類

犬の皮膚腫瘤は大きく「良性腫瘍」「悪性腫瘍」「非腫瘍性の腫瘤」に分類されます。

主な良性腫瘍

腫瘍名 特徴 好発犬種・年齢
脂肪腫 皮下に柔らかく動く、ゆっくり成長 中高齢犬、肥満犬に多い
乳頭腫(パピローマ) カリフラワー状のイボ、ウイルス性 若齢犬・高齢犬
皮脂腺腫・皮脂腺過形成 小さなイボ状、表面にワックス様の分泌物 高齢犬、コッカー・スパニエル
組織球腫 急速に大きくなるが自然退縮する赤いドーム状 3歳以下の若齢犬
毛包嚢胞(表皮嚢胞) 丸い嚢胞、押すとドロッとした内容物 犬種を問わず
線維腫 硬い皮膚色のしこり 高齢犬

主な悪性腫瘍

腫瘍名 特徴 好発犬種・年齢
肥満細胞腫 見た目が多彩(柔らかい~硬い)、急に大きくなることがある 中高齢犬、パグ、ボクサー、ゴールデン・R
軟部組織肉腫 皮下に硬いしこり、周囲組織に浸潤する 中~大型犬、中高齢
扁平上皮癌 潰瘍形成、治らない傷のように見える 色素の薄い皮膚に多い
メラノーマ(悪性黒色腫) 黒い色素を持つしこり(色素がないこともある) 口腔内・爪床に多い
乳腺腫瘍 乳腺に沿ったしこり、約50%が悪性 未避妊のメス犬
血管肉腫(皮膚型) 赤~暗紫色のしこり、出血しやすい 大型犬

非腫瘍性の腫瘤

腫瘍ではないが、しこりとして触れるもの:

  • 膿瘍: 細菌感染による膿の集まり。熱を持ち痛みがある
  • 肉芽腫: 異物反応や慢性炎症によるしこり
  • 血腫: 打撲や手術後に血液が溜まった状態
  • ダニの吸着: イボと間違えやすい(マダニが皮膚に食いついた状態)

良性と悪性の見分け方の手がかり

外見だけでの確定診断はできませんが、良性・悪性を推測する手がかりとなる特徴があります。あくまで参考情報であり、確定診断には必ず検査が必要です。

特徴 良性の傾向 悪性の傾向
成長速度 ゆっくり(数か月~年単位) 速い(数週間で大きくなる)
境界 明瞭(周囲との境目がはっきり) 不明瞭(周囲の組織と癒着)
可動性 皮膚の下で動く 固定されて動かない
硬さ 柔らかい~弾力がある 硬い
表面 滑らか 潰瘍・出血・壊死がある
痛み 通常は無痛 痛みを伴うことがある
大きさ 小さいことが多い 大きい、または急速に拡大

注意: 肥満細胞腫は良性のように見えることがある(柔らかく、境界明瞭)ため、外見だけで判断するのは危険です。

特に注意が必要な肥満細胞腫

肥満細胞腫は犬の皮膚悪性腫瘍の中で最も多く、全皮膚腫瘍の16~21%を占めます。その最大の特徴は「外見が多彩」であることです。

肥満細胞腫の特徴

  • 柔らかいものから硬いものまでさまざま
  • 小さなイボのようなものから大きなしこりまでさまざま
  • 突然大きくなったり小さくなったりする(脱顆粒による)
  • 触ると周囲が赤く腫れることがある(ダリエ徴候)
  • 皮膚のどこにでもできる

肥満細胞腫のグレード分類

グレード 特徴 予後
低グレード 成長が遅い、完全切除で治癒率が高い 良好
高グレード 成長が速い、転移のリスクが高い 要注意(化学療法を検討)

好発犬種

パグ、ボクサー、ボストン・テリア、ゴールデン・レトリバー、ラブラドール・レトリバー、シャー・ペイ、ワイマラナーなどが知られています。

しこりを見つけたときにやるべきこと

自宅でできること

  1. 大きさを測定する: 定規やメジャーで腫瘤の長径を測り、日付とともに記録する
  2. 写真を撮る: 同じ角度で定期的に撮影し、変化を記録する
  3. 位置をメモする: 身体のどの部位にあるかを記録する(図を描くと分かりやすい)
  4. 触った感触を記録する: 硬い・柔らかい・動く・動かないなど
  5. 他のしこりがないか全身をチェックする

やってはいけないこと

  • しこりを潰そうとする
  • 針で刺して中身を出そうとする
  • 市販の「イボ取り」製品を使う
  • 様子を見すぎて数か月放置する

動物病院での検査

細胞診(針生検・FNA)

最も基本的で重要な検査です。細い針をしこりに刺して細胞を採取し、顕微鏡で観察します。

  • 所要時間: 数分(麻酔不要のことが多い)
  • 痛み: 注射程度(犬への負担が少ない)
  • 費用: 3,000~8,000円
  • 精度: 腫瘍の種類を約70~90%で推定可能
  • 限界: 確定診断には至らないこともある(組織診断が必要な場合がある)

組織生検(バイオプシー)

しこりの一部または全部を切除して病理検査に提出します。確定診断が得られ、悪性の場合はグレード分類や外科マージン(切除範囲の十分さ)の評価もできます。

  • 所要時間: 30分~1時間(局所麻酔または全身麻酔)
  • 費用: 15,000~50,000円(切除範囲と部位による)
  • 結果が出るまで: 1~2週間

その他の検査

検査項目 目的 費用の目安
血液検査 全身状態の評価、腫瘍マーカー 5,000~10,000円
X線検査 肺転移の有無 3,000~8,000円
超音波検査 腹部臓器への転移の有無 3,000~7,000円
CT検査 腫瘍の広がりの詳細評価 30,000~60,000円
リンパ節の細胞診 所属リンパ節への転移の有無 3,000~8,000円

治療方法

良性腫瘍の場合

  • 経過観察: 小さく変化がなければ定期的な観察のみ
  • 外科切除: 大きくなった場合、生活に支障がある場合、または確定診断を兼ねて切除

悪性腫瘍の場合

  • 外科切除: 十分なマージン(腫瘍周囲の正常組織を含めた広い切除)が基本
  • 化学療法(抗がん剤): 転移のリスクがある場合や切除不能な場合
  • 放射線療法: 切除が困難な部位や不完全切除の場合
  • 分子標的薬: 肥満細胞腫でc-kit遺伝子変異がある場合(トセラニブなど)
  • 緩和ケア: QOLの維持を最優先とする治療

治療費の目安

治療内容 費用の目安
小さなイボの切除(局所麻酔) 10,000~30,000円
腫瘤切除手術(全身麻酔) 30,000~100,000円
広範囲切除(悪性腫瘍) 80,000~200,000円
化学療法(1クール) 30,000~80,000円
放射線療法(1回) 20,000~50,000円

費用は病院や腫瘍の大きさ、部位、治療計画によって大きく異なります。事前に見積もりを確認してください。

年齢別の注意点

3歳以下の若齢犬

組織球腫(自然退縮する良性腫瘍)やウイルス性乳頭腫が多いです。多くは自然に消えるか、簡単な処置で対応できます。ただし自己判断せず、一度は獣医師に確認してください。

4~7歳の中年犬

脂肪腫が増えてくる年齢です。同時に肥満細胞腫などの悪性腫瘍のリスクも上昇し始めるため、新しいしこりを見つけたら早めの検査をおすすめします。

8歳以上の高齢犬

皮膚腫瘤の発生頻度が大幅に上がります。良性も悪性も増えるため、月に1回程度の全身触診で新しいしこりの早期発見に努めてください。

予防と早期発見のために

定期的なボディチェック

月に1回、愛犬の全身を触って新しいしこりやイボがないか確認してください。特に以下の部位を重点的にチェックします。

  • 頭部・顔面(まぶた、唇、耳)
  • 首・胸部
  • 脇の下
  • 腹部・乳腺ライン
  • 鼠径部(内もも)
  • 四肢
  • 指の間
  • 肛門周囲

しこりマップの作成

見つけたしこりの位置、大きさ、日付を記録する「しこりマップ」を作ると、新しいしこりの出現や既存のしこりの変化を追跡しやすくなります。

定期健康診断

年1回(高齢犬は年2回)の健康診断に皮膚の確認を含めてもらうことで、飼い主が気づかないしこりの早期発見につながります。

よくある質問(FAQ)

Q1. 犬のイボは自然に取れることがありますか?

はい、一部の良性腫瘤は自然に縮小・消失することがあります。代表的なものはウイルス性乳頭腫(パピローマ)と組織球腫です。乳頭腫は免疫が確立されると数週間~数か月で自然に退縮します。組織球腫も通常2~3か月で消えます。ただし、自然に消えないイボや、大きくなっているイボは腫瘍の可能性があるため、自己判断で経過観察を続けるのではなく、獣医師に確認してもらうことが大切です。

Q2. 脂肪腫と診断されました。手術で取るべきですか?

脂肪腫は良性腫瘍であり、急いで手術する必要はないことが多いです。ただし、以下の場合は切除が検討されます。大きくなって犬の動きを妨げている場合、急速に大きくなっている場合(脂肪肉腫の可能性を除外するため)、関節や筋肉の間に入り込んでいる場合(浸潤性脂肪腫)。また、今は小さくても将来大きくなる可能性があり、大きくなってからの手術は犬への負担も大きくなります。獣医師と相談して方針を決めてください。

Q3. しこりの検査で「細胞診では判断がつかない」と言われました。どうすればよいですか?

細胞診で確定診断に至らないケースは珍しくありません。この場合、以下の選択肢があります。組織生検(しこりの一部または全体を切除して病理検査に出す)を行うことで確定診断が得られます。しこりが小さく全身状態に問題がなければ、切除生検(しこりを丸ごと取って検査する)が診断と治療を兼ねる効率的な方法です。経過観察を選ぶ場合は、2週間後に再度大きさを測定し、増大傾向があれば早めに生検を行ってください。


まとめ

犬の皮膚にできるイボやしこりは高齢になるほど増え、多くは良性ですが、外見だけでは良性・悪性の判断はできません。新しいしこりを見つけたら、大きさと位置を記録した上でなるべく早く動物病院で細胞診を受けてください。特に急速に大きくなるしこり、硬くて動かないしこり、表面に潰瘍があるしこりは悪性の可能性が高いため、速やかな受診が必要です。月に1回の全身触診で早期発見を心がけることが、愛犬の健康を守る最善の方法です。

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